「え? なんで知ってんの?」


ドキンッ。


心臓が、今までにないくらいに跳ね上がる。


「お姉ちゃんが通っててさ……。バーチャル彼氏……そこの大学で作ってるんだよね? だったらさ、生徒がモデルになったりとか、するのかな?」


何気なく聞くつもりなのに、声が震えてぎこちない。


まさか、そんなわけないって思いと。


ほんの少しの期待が入り混じる。


「あぁ、俺の兄貴もモデルやるっつって、かなり張り切ってた時があるよ? 結構前だけどさぁ?」


「――っ!!!」


私は、言葉を失った。


枯れていたハズの涙が、浮かび上がってくる。


だけど今度は、うれし泣きのほ方だ。


「うわっ? ちょ、なに? どうした?」


「なんでもないっ! 瀬戸君って、本当に最高だよねっ」


そう言い、嬉しさにまかせて、瀬戸君に抱きついた。


瀬戸君はバランスをくずし、そのまま壁に背中を当ててなんとかこらえた。


「ごめんね瀬戸君。私、瀬戸君とは付き合えない」


「は――?」


「ほんっと、ごめんなさいっ!!」


私は満面の笑顔で告白を断り、スキップしながら家に帰ったのだった――。