好きな人の事で相談があったから、あんなにテレてたんだ。


そう理解すると、なんだかエマがものすごく可愛く見えてくる。


口は悪いけど、それも照れ隠しなのかな?


なんて。


「エマの好きな人って?」


「あぁ。俺の兄貴」


「え? 瀬戸君、お兄ちゃんいたの?」


驚いて、目を見開く。


兄弟の話しなんてこれっぽっちもした事がなかったから、余計にビックリした。


「そ。俺と違って頭がよくて、勉強熱心なのが好きなんだと。顔は似てるのに」


そう言って、クスッと笑う顔は――向日葵。


失ったと思ったものが、今目の前にある気がした。


「お兄ちゃんって……もしかして……」


「うん?」


「神蝶大学……?」


神蝶大学。


そこは、お姉ちゃんの通っている大学だ。