愛して、芹沢さん

「風ちゃん、やっぱり帰ろう」



と風ちゃんの袖口を握る。


「なんで?りっくんの会社、もうすぐそこじゃん」


「っ…そうなんだけど、なんか気が変わったっていうか…ね?だからもう帰ろう?」




ごめん、風ちゃん。



わがまま言ってることはわかってる。


でも、これ以上はもう、___





「もしかして、りっくんってあの人?」



風ちゃんの視線の先にいる人…


そうだよ、あの人が芹沢さんだよ。



芹沢さんは風ちゃんが言った美人の隣にいて、わたしには見せたことのない笑顔を振りまいていた。




それだけならまだいいほう。