「そんな、申し訳ないです!わたしのことは気にせずに飲んでもらって大丈夫です」



と言ってはみたものの、1人で飲むのは美味しくないのかも。



「あのっ、やっぱりわたしも飲みます」


「え?無理しなくていいよ?」


「1杯だけなら大丈夫だと思うので」



ちょっとでも好印象でいたい。




眼鏡は壊すし、空気は読めないしで、今のわたしは芹沢?さんの話し相手すらうまくできていない。



こんなわたしを誘ったこと、後悔してるだろうから…


だから、ちょっとでも。




「じゃ、軽くて飲みやすいものを注文するね」


「はい、ありがとうございます」




初対面のわたしにまで優しくしてくれるなんて、大人の余裕ってやつなのかな?



チラッと芹沢?さんを盗み見しながら観察する。


綺麗に整えられた黒髪に小さな顔も整っている。



スーツ姿がよく似合い、身長が低いわたしから見た芹沢?さんの身長はかなり高く感じた。




これはモテる。


絶対モテているに違いない。


でも、見たところ指輪はしていないし、結婚はまだのよう。



ってそうじゃないと、わたしなんかと2人でご飯なんて行かないよね。