愛して、芹沢さん

それから数日経ったある日。




あの日の出来事が、どんどんと薄まっていく中、芹沢さんの笑顔だけが印象強く残っていた。



あの日に運を使い果たしたから、もう二度と芹沢さんには会えないと思ってはいたけど、街や電車内で無意識に芹沢さんを探してしまっていた。




だけど、今日も芹沢さんの姿は電車にもなく…


肩を落としながら最寄り駅で足をおろした。




そうだ、芹沢さんって社長さんなんだった。


社長さんが電車に乗るなんてあり得ないんだ。





この前だって、真木さん運転の車があったし、電車で芹沢さんを見つけることは不可能なのかもしれない。



なんでこんなことに気づかなかったんだろう。


ってことは、いよいよ会えないも同然。




じゃ、どうしてこの前は電車に乗ってたんだろう?



それ以前にも乗ってたようだし。




んー、やっぱり芹沢さんは不思議な人。



そんなことを思いながら駅を出ると、向かい側の歩道を歩く芹沢さんの姿が。