愛して、芹沢さん

「仕事…ですか?」


「……ちょっと別の用事…でも、すごく大事な用事で…」


「わかりました。昨日今日と満喫できましたし、わたしなら平気なので」


「ごめんね?次の旅行はもっと遠出しようね」


「はい」






芹沢さんの顔はどこかホッとしていたように見えた。




すごく大事…


わたしとの時間より優先するくらい大事な用事っていったい…?




はぁ…なんでこうも次から次に悩みが増えていくの?





わたしの人生って、そういう運命なのかな?




「そろそろ旅館に戻ろっか」



と腕時計を見ながら口にした芹沢さんと腰を上げる。



すると、自然と繋がれた手。