愛して、芹沢さん

このままだと決めきれないだろうし、デザートなんかに時間をかけて待たせるのも申し訳ない。




「お任せのデザートなんだけど、トッピング増やして出してあげて?僕はいつものコーヒーで。それから、車回すように伝えてくれるかな?」


「はい。かしこまりました」





芹沢さんに深く頭を下げ去っていくスタッフさんの背中を見つめていると名前を呼ばれた。





「莉央ちゃんがいつも降りる駅って、終点じゃないよね?」


「え、どうしてそれを…?」



わたしが降りる駅は終点の3つ前の駅。




今日は寝過ごして、こんなことになってるんだけど、どうして知ってるの?




「実は、何度か見かけてたんだよね」


「そうだったんですか?わたし、全然気づかなかったです」


「降りる駅で起こしてあげればよかったんだけど、さすがに見ず知らずの人に、それも男の僕に起こされるのは嫌かな、って…」


「そんな…。なんか気使わせてすみません」





そこまで気を使わせていたとは…。