嘘の花言葉

 ようやく駅に着き、駐輪場の一番左端に自転車を停めようとしていると、慌てていたため車輪をぶつけてしまい、右隣の自転車が倒れる。

 そのまた右隣の自転車も倒れ、瞬く間に次々と倒れていき……結果、一番右端までの全ての自転車をドミノ倒ししてしまった。

 ぎゃぁぁぁぁぁぁ、もう最悪すぎ‼ 
 これ全部起こしてたら電車に乗り遅れちゃう!
 私は女子力を高めるよりも先に、こういう時々やらかすドジを直すべきだな……。

 心の中で反省会を開きながら、メソメソと自転車を起こしていた。その時。

「こりゃ派手にやっちまったなぁ」

 突然後ろから笑い声がして振り返る。背が高くて明るい髪をした男子が立っていた。

 初めて会う人だ。あの学ラン……近隣の高校の生徒だろう。

 その人は頼んでもいないのに、倒れていた自転車を起こし始める。一台、また一台とテキパキ。

 ありがたい……!
 はっ。いけない、電車の時間が迫ってる。これを逃したら一時間後だ。何を隠そう、私が通う高校があるこの町はまぁまぁ田舎で、電車の本数が少ないんだ。