冷たい雨が自分に当たる
水たまりを踏んで水が弾けズボンの裾が濡れる
後ろからは鬼みたいな奴が追いかけてくる
ー止まれば死ぬー
それは誰もが思うだろう。
私が息を切らしながら全力疾走するのを見かけた人は不思議そうに見る。
鬼が皆は見えてないみたい
どうにか鬼を巻くために複雑な路地に入って行った。
曲がり角が多いから鬼ごっこで昔使っていた。
曲がれば曲がるほど混乱するから吹っ切るには最適だ。
でもこの路地には欠点がある。
10か所ある内の5か所は行き止まりになっている。
この五か所に行ってしまったら終わりだ。
記憶が正しければもうすぐ出れる。
だけど…
「うそ…でしょ…」
目の前には大きな壁。行き止まりだ。
(おわった…)
鬼が追いついてきた
スッと刀を出し私をにらんでいた。
(あ…………切られて死ぬ)
手足の力が抜けた
目を閉じる。
今までの事がフラッシュバックした。
これが走馬灯か…
目を閉じ、死を覚悟した時だった
ザシュッ…
痛くない、でも何かが肉を切る音はした。もしかして…私生きてる?
そっと目を開くとまず目に入ったのは鈍く光る刀だった。
(誰だろ…)
「よく逃げたな」
白い布から金色の綺麗な髪がのぞく。
月が上り彼らを照らした。