それでもぼくは追い出されないように香りさんの機嫌を損ねないように息を潜ませて生きてきたつもりだ。度々、香りさんはお酒を飲んでから帰宅してくるのでぼくはよく、玄関先まで水を持っていき、ベッドまで肩を貸して運ぶのだった。
 あの日も水を持っていき、香りさんはそれを受け取ると一気に飲み干した。滴り落ちる水滴が胸元を露わにして、ピッタリと引っ付いたブラウスから派手な下着が透けて見える。ぼくは意識しないように目を背けながらいつものように肩をかした。
 ベッドまで着くと香りさんはベッドにちょこんと座るとぼくを引きずり込むように腕を引っ張っる。ぼくは香りさんの思惑通りにベッドというか、香りさんの体に覆いかぶさるかたちになってしまい、すぐに起き上がろうとするも香りさんに体勢を入れ替えられてしまい逆に覆いかぶされるかたちになってしまった。