どうやらこの棲み分けにはぼくと浜下ではそごがあるようで、気にしているのはぼくだけで、真面目な生徒から恐れられている浜下はまるで気にしていない様子だった。気にしなくても相手側が一線を引いているのだからどうしようもないが、気にしているほうがおかしいのかもしれない。

 実際に武本にしてもかかわりを持つような女の子かと思うと、そうではないのかもしれない。髪の毛こそ染めてはいるが、とくに悪ぶったことをするわけでもないが、真面目というわけでもない。授業中は友達とお喋りをしていたり、真面目にノートを取ったりと、この学校では普通の生徒である。

「やっぱり見た目が大事なんだよなぁ」
 ぼくは吐き捨てるように言った。
「顔面偏差値の話か?」
「顔面偏差値も大事だけど、生活態度というか、振る舞いというかな」
 そういうと、浜下はそうかもなと、頷いていた。だけど、ぼくが言っている意味をあまり理解してはいないだろう。なぜななら今現在授業中であり、浜下はノートすら取らない上に黒板のほうを向こうともしないのだから。

 まあ、ぼくも浜下とお喋りしてノートなどとっていないのだから人のことはいえない。
 ただ、黙々と授業を進める先生がチラチラ見ながら困り顔をこちらに向けるのだった。