アドレスを操作して
出てくる番号に電話する。



『もしもし
カスミだけど…好きな人が出来たから
もう会えないし会わない。
ごめんなさい。』



何件もかけている私を
慎也は理解不能って顔をしながら見つめる。



ターゲットだった人達に電話をかけ終わった後
携帯を握り締め
目の前の小川に投げ入れた。



「おまっ!!!
何やってんだよ…」



『携帯なんか要らない。
他の人じゃダメなんだよ…ヒック
慎也ぁ…傍にいてよ…』



「…おせぇよ」



『ウゥ…ごめんなさい…』



遠ざかる足音が聞こえる。



怖かったんだ。




また好きになって


裏切られて


傷つくのが…。




いつも傍にいてくれる慎也に

甘えて


どんな時でも離れていかないか

試してたんだ。



だから―――

当然の結果なんだよね…。



今まで適当に気のある振りして

適当に楽しい時間を過ごして

相手がその気になったら手を切る。



そんな事ばかりしてたから…


人を傷つけたから…


それでも誰かといたくて…


そんな事ばっかりしてたから

自分に跳ね返ってきたんだね。



…ごめんなさい。