「今日も映画に行けただけでも本当に嬉しかったんだ」

照れくさそうにそう言う瀬能さんからは悪意は全く感じられない。 むしろ純粋さまで感じる。
私の方が恋愛にはよっぽど冷めているだろう。 誰と付き合ってもいつだって先が見えてしまった。

このまま何回かデートを重ねたら、告白とかされちゃうんだろうなあ…。
でも社内恋愛か…。それはそれで面倒くさい。

瀬能くんの顔は嫌いではないし、年下だって悪くはない。
けれど……少し重たそう…。だけど

「瀬能くんは、一人暮らしだっけ?」

「え?うん。そうだよ」

「へえ、そうなんだ。今度遊びに行きたいなあー」

「是非是非!蛯原さんなら大歓迎だよッ。
今度家片付けておくから、いつでも遊びに来てよ」