「おばさんの分はないから」

「おばさんって言わないでよ。桃菜ちゃんだっつの。
別に朝ご飯なんて食べないからいらないけどね、太っちゃう~」

真白と話をしながら冷蔵庫を開けて、ヨーグルトを取り出す。

小早川家の長女はどうやら未だに私が気に食わない模様。 そりゃそうだ。 私は小早川家で居候する事になって、一人部屋だった真白の部屋で一緒に生活をする事になったからだ。

それにくわえ、相当なブラコンらしく碧人さんと私の仲を疑っている。 …全然全く何もないんですけど!

それでも毎朝ながら感心してしまう。
母親のいないこの家で、真白は中学生ながら家事全般を一人でこなしているのだ。

私が来る前からずっとそうだったらしい。 けれど成績も優秀で、第一志望の公立の高校は県内でも随一の進学校だった。

それでも普通の中学生。 まだまだ遊びたい盛り、母親代わりを努めるのは余りにも酷ではないだろうか。

つーか私が真白位の年齢だったら絶対に嫌だ。 文句の一つも言わないのは少しだけ心配になる。

「おばさんになると新陳代謝が悪くなるから太りやすいもんね」

…先ほどまでの同情はナシ。 やっぱりクソ生意気なガキ。