【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「蛯原さん、今週の土曜日休みだよね」

「あ~そうですね~」

「あの…もしも暇だったら……映画にでも行かない?」

もじもじしながらそう切り出した彼の表情を見つめ、やはり私に気が合ったのだなと冷静に考えている自分がいる。

こういう状況は珍しい事ではない。
にこにこと笑って愛想良くしていれば、勝手に周りの男達は勘違いしてくれる。

「映画ですか…」

「あ、もしも蛯原さんが暇だったらの話だけど…
一回蛯原さんと一緒にゆっくり話してみたいなあーって思ってたんだ」

ゆっくり話したいのに誘ったデートが映画?! もしかしたらあんまり女慣れしていない人なのかもしれない。

照れくさそうに屈託なく笑う瀬能さんには嫌な気持ちになったりはしないけど…でも。

「映画ですか……」

「あ、もしも見たい映画がなかったらいいんだけど…」