「瀬能さん、ありがとうございます」
「いや全然。蛯原さん困ってそうだったから……」
「お客様だから無下に扱う事も出来なくて~~。本当にいつも助かります~」
瀬能 水月 23歳。私より二個年下で今年大学を卒業して新卒でボヤージュに入社した。
今はmarinに配属されているが、いずれは本社へ戻るのだろう。ふんわりとしたタイプの高身長爽やかイケメンである。
私は年下に興味はなかったけれど、瀬能さんは私に気があるのだと…思う。 女慣れしてなさそうで不器用そうな所が可愛らしい。
瀬能さんと話していると、梓さんがやって来てぎゅっと私を抱きしめる。
「蛯原さん、大丈夫?!
蛯原さんすっごく可愛いからいつも変な男に絡まれて心配!」
「アハ、梓さん~大丈夫です~。瀬能さんに助けてもらったから~」
私をぎゅっと抱きしめたまま梓さんが瀬能さんへと視線を送った。
「まさか瀬能…蛯原さんを狙ってるんじゃないでしょうね?
あんたには百年早いわよ」
「ちが…まさか…俺はそんなつもり……」