【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


文句を言いつつも車内は和やかな雰囲気だった。
本当は狸顔だって言われるの、全然嫌じゃないんだ。

こんな可愛いレッサーパンダを私に似ているって言ってくれて、嬉しい。
ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめると、何故か優しい気持ちになれた。


―――――


「ええー?!桃菜ちゃんとあお君だけで動物園行ったの~?ずっる~…」

家に帰って来てからカレードリアを作って、小早川家の家族の帰りを待った。

朱莉はぬいぐるみをすごく嬉しそうにしてくれて、真白は’子供じゃないんだけど’と可愛くない事を言ったけれど実は嬉しそうにしていたのを知っている。

藍の気持ちは分からないけれど、ご飯中も私があげたぬいぐるみを手放そうとはしなかった。

「本当に碧人と桃菜ちゃんだけずるいよなあ~。俺も行きたかった~。
つか俺にだけお土産ないの少し悲しいし!」

「アハハ~。お父さんってば子供みたいな事言わないでよ~。それにお父さんにぬいぐるみとか超似合わないし!」

「なにを、朱莉。 可愛いペンギンさんのぬいぐるみはお父さんにすごく似合うだろう」