【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「…じゃあ、桃菜に似てないじゃん…」

「ふんわりとしてるかと思えば自分の意思を絶対に曲げない我儘で頑固な所もあった」

「もぉ~~!!!そういう所が似ているかって?!」

ハンドルを握りながら声を上げて笑う碧人さんの脇腹にパンチをする。

「おい、運転中にあぶねぇなあ」

「だって碧人さんが意地悪ばっかりいうから~~~」

「でも本当に雰囲気が少し似ているよ。
子供っぽくて我儘な所もあったけれど、愛情に溢れている人だった。
俺が非行に走らなかったのはきっとみやびさんが本当の家族のような愛情を注いでくれたからだろうな。
だからあの人は俺にとっても恩人でもあるんだ」

「……やっぱり桃菜に似てないじゃん」

信号で車が止まると、前を向いていた碧人さんがこちらを見つめた。
フッと不敵な笑みを浮かべて、勝ち誇ったように笑う。