「ボロ家って… 本当に失礼な人だな」
「真実を言ってるだけじゃん。 この家本当に大丈夫?
少し強い風が吹いたら吹っ飛んでいってしまいそうだけど…」
「大丈夫だから暮らしているんだろうが…」
むすりと表情を曇らせて、ぶっきらぼうに言った。
伊織さんの秘書としてボヤージュに勤める彼の第一印象は、ふんわりとした雰囲気の優し気なイケメンエリート。
しかし少し話した後に、こいつの本性がすぐに分かった。
’裏表のある女性は好きじゃないです’そうはっきりと告げられて、告白もしていないのに振られた気分になった。
長身で爽やかなイケメンだと思ったら、それは大間違い。 確かに一見人当りが良いかもしれないけど、中身は悪魔そのものなのだ。
私を実家に連れて来る車の中でもずっと不機嫌そうで、文句を言うたびにぎろりと睨まれた。 ~~~…こんな奴と一緒に生活なんて絶対無理!しかもこんなボロ家なんて聞いていないし!



