安定した職にはついた。
後は貯金をして、自立するだけだ。
だから小早川家で過ごす時間は一時にしか過ぎない。

「ああ。けれどお前伊織の家に居候した時に買った物の借金は返してな」

なんつー辛辣な言葉だ。
大体碧人さんが「生活に必要な物があったら言って下さい」とはじめに私に言ったくせに
後からお金を請求してくるなんてやっぱり悪魔だと思う。

まあ…生活に全然必要のない美顔器やら化粧品を頼んだ私も私だけど。

「本当に……碧人さんは酷い……。」

「お前の必要な物は会社の経費で落とせないものばかりなんだよ」

「でも伊織んは自分のカードで買っていいっていったもん!」

「いまや市ヶ谷家の金銭は真凛さんが全て握っているらしい。
真凛さんも桃菜が買った物は桃菜に払わせて下さいねって言っていたぞ」

「ほんっとうに真凛ちゃんも碧人さんも酷すぎるッ!人でなし!
これじゃあいつまで経っても自立出来ないじゃない~~……
桃菜はいつまでこのボロ家に住んでいればいいの~?」

「別にうちはいつまでだって居てもらっても構わないけどな」