こたつから立ち上がり、台所へ急ぐ。
秀人さんはすっかり他人の顔をして、テレビへと視線を移していた。

カレーを温める為に火をともし、台所からちらりと茶の間を見つめると
鋭い視線を送る碧人さんとばちりと目が合ってしまった。 ひぇ……なんて恐ろしい顔。絶対に悪魔と言った事を根に持っているに違いない。


成り行き上始まってしまった同居生活。
振り返ればいつだって悪魔が居た。

悪魔は、二重人格で表面はとても良い。 職場でも人望に溢れていて、一見爽やかな好青年だ。
だから家ではちょっぴりずぼらで口が悪いのも、私だけが知っている秘密だ。