「当たり前だ…。俺は…まだ背負う物が多いから、桃菜を満足させられるような生活はさせてあげれないかもしれないけど」

「碧人さんの背負っている物、桃菜も一緒に背負う…。
桃菜は真白達のお母さんにはなれないけれど、お姉さんにはなれる」

「真白達と同じくらいの精神年齢のくせに?」

くすりと笑う声は優しいものだった。
碧人さんの胸の中、わざと拗ねた素振りを見せる。

「いいの。桃菜…碧人さんの事は大好きだけど、それ以上に小早川家の住人が好きだもん。」

「そんな事を言ってくれるのは、きっと桃菜だけだと思う。
我儘でも自己中でも、実は優しい桃菜が好きだよ。」

幸せは探すものでも奪い合うものでもなくて、気が付けばそこにあるものだった。