確信に変わったのは、暗がりの車中で再び腕を掴まれた所で

「桃菜の事こんなに好きなの、バレちまったか」

そう言ったかと思えば、さっきより深い口づけを唇に落とす。
碧人さんの指先がじんわり冷たい、けれど汗をかいている。

そして唇を離したかと思えば、彼は窓際に顔を背けてしまった。 横を向いた時に見えた耳たぶが、尋常じゃない位赤かった。

思わず彼の胸に手を充てると、私と同じくらい心臓がバクバクと鼓動を刻んでいる。

「突然何するんだよ」

「うわあ…びっくり。碧人さんも普通の人間だったんですね。
大好きな桃菜にキスをすると、心臓ドキドキいっちゃうんだ……」

「うるさ………
全くお前は、俺をなんだと思っている」

「悪魔…?」

振り返った悪魔は暗がりの中でも分かるくらいに顔を赤く染めて、こちらを見つめると目を細めて優しく微笑むのだ。

悪魔は、優しい顔をして笑う。
意地悪な言葉を並べながら、私の居場所を作ってくれて
振り返れば、いつだってあなたが側にいてくれた。