小早川家近くの歩道で碧人さんは車を止めて、ゆっくりと私の顔を覗き込む。
照れくさくって、どこかくすぐったくって、視線を合わせる事が中々出来ない。
…恋愛にはもっと余裕を持っていたいのに。

「そういえば、瀬能くんの事はどうしたんだ?」

人が勇気を出して聞いたのに、好きかっていう答えはなし?!

「瀬能さんには数日前はっきりとお断りしましたッ……。
はぁ~付き合うにはいい物件だと思ったんだけど
もう自分が得をする為に計算をして誰かと付き合うとか止めたかったんだもん。
本当に、こんなの自分らしくない」

「フンッそれならまあいいけど。大体桃菜と瀬能くんは似合わないだろう。
瀬能くんだってお前の我儘な所や自己中な所を知れば呆れ返るに違いない」

「もう!!!碧人さん嫌味ですよ?!   そんな桃菜も好きで好きで仕方がない癖に!
知ってるんだから…ッ」