【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「ぎゃあ!!!」
「ぐあ!!」

びっくりして、後ろ向きのまま数センチ退いてしまうと、伊織さんの体にタックルをする形になってしまった。

私よりずっと伊織さんの方が痛かったらしく、その場に情けなく座り込み強打した腕を押さえつける。

「騒がしいんですよ、あんた達は」

そこには、両手を組んでこちらを見下ろす碧人さんの姿があった。

「どういうことですか!!」と強打した伊織さんの腕を強く振り回すと、伊織さんが「ぎゃー!」と悲鳴を上げた。

「痛…馬鹿力かよ…。
おお、碧人わざわざ迎えにきたのかよ。
さっき飲んでる時碧人に連絡しておいたんだよ。
返事がなかったから迎えに来るとは思わなかったけれど」

「余計な事を……今日は真凛ちゃんと食事に行って、そのままマンションで飲むとは伝えていたんですッ
つーか……碧人さん、いつからそこに…」

振り回していた伊織さんの腕を離す事も忘れ、その場に二人でへたりこんで碧人さんを見上げる。
碧人さんの口元がへの字に下がっている。
いやそんな事はどうでもいい。さっきの話の内容を聞かれていたら非常にまずい…。