【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「どうしてありえないと言える。
碧人は確かに昔から面倒見の良い男だけど、なんとも思っていない女を実家にずっと住まわせる真似もしないだろう。
逆にどうして桃菜は碧人との結婚をありえないって言うんだ?
桃菜は、碧人の事が好きじゃないのか?」

「す、好きだなんて…!」

そりゃあ好きだけど…。

小早川家に来て、悪魔の様な悪党の碧人さんと一緒に暮らして、少しずつ想いは降り積もるばかりだった。

元カノが突然現れたのもすっごく嫌だったし、本当は小早川家から出て行きたくない!
だって私は秀人さんの事も好きだし、三姉妹だって可愛くて仕方がない。

家族愛を知らない私が、初めて家族の一員になれたと思った。 でもそれは本当の家族じゃなくって……。

「何だよ、俺はてっきりあんなに仲がいいもんだから、桃菜も碧人が好きだと思ってたんだけど
じゃあ、碧人の片思いか。 フンッ、碧人が片思いとか笑える。
今度桃菜は全然お前の事好きじゃないってからかってやろうっと!」