【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「ほう、小早川家の三姉妹か。最近会ってないな、もう随分大きくなっただろう。今度一度真凛と会いに行くか。
桃菜もずっとあの家で暮らすんだろう?碧人いわく一般庶民はあの程度の家に住むらしいが、俺には犬小屋にしか見えないけどな
なんでも今度リフォームするらしいな。少しは広くなるといいな」

リフォーム?!
そんな話は一切聞いていない。
ていうか大真面目な顔をしている伊織さんは、何てことない風にありえない事を口に出した。

「リフォーム?何も聞いてませんけど……どうして桃菜がずっとあの家で暮らすのよ。
もうすぐ碧人さんの家は出て行く予定です。 今ちょうど賃貸情報を見ていて、新しく住むマンションを探している所ですよ」

「新しいマンション?なんでだ?」

「何でって…!そりゃあいつまで経っても碧人さんのお家にお世話になるわけにもいかないでしょう?!」

伊織さんの目にはどれだけ私は図々しい人間にうつっているのだろう。
確かに真凛ちゃんと伊織さんの新婚生活早々お世話になっていた図々しい私ではあるけれど…。

「どうしてだ?」