玄関まで伊織さんが見送ってくれたけれど、真凛ちゃんはまだ壁に向かって話を掛けている。
「てっきり泊っていくかと思ったのに。
すまないな。酒を飲んでなきゃ車で送ってやることが出来たんだが…」
「全然いいんですよ。まだまだ電車もありますしね~~
それに久しぶりに真凛ちゃんとゆっくり話せて嬉しかったですし
まさか真凛ちゃんがあんなにお酒に弱かったなんて思いもしなかったけれど……」
当の本人は現在観葉植物を私だと思って話しかけている。 こりゃ駄目だ。
真凛ちゃんってずっとしっかり者だと思ってたけれど、こんな一面もあるんだ。
伊織さんと結婚していい意味で変わったと思う。
「伊織さんは真凛ちゃんを介抱してあげてください。 後お土産、貰いました。ありがとうございました。」
その場でぺこりと頭を下げ顔を上げると、伊織さんは鳩に豆鉄砲でも喰らったような顔をして目を丸くする。
「桃菜、なんか変わったな…」



