【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「女狐って…
背が高くて、大人っぽい綺麗な人です!!」

「あれが…綺麗か? 綺麗ならば真凛の方がよっぽど綺麗だけど」

惚気話はもういい!真凛ちゃんを倣って伊織さんの頭をぶん殴ってやりたい所だったけれど、真凛の方が綺麗だという言葉が嬉しかったらしく真凛ちゃんはニヤニヤと笑って伊織さんの膝に顔を埋める。

…もう勝手にやってくれ。

「大学時代から碧人にしつこく言い寄っていた女な。
そういえば、大学を卒業してから一時期同棲もしていたっけ…」

「碧人さんが同棲?」

あんなに家族を大切に想っている人が実家を出て、彼女と暮らしていたなんて。
それ程に藤枝さんを大切に思っていたのを想像すると、今にも泣きそう。

「彼女が強く希望して同棲したはずだ。 けれど碧人にも家庭の事情があるからって事で
同棲をし始めてすぐに別れたって話をしていたような気がするな…
あまりにも興味がなさすぎて覚えていないが…
あの女狐がボヤージュに入社しているのも最近まで忘れてたんだ…」

「女狐ってあーはっはっはっ!桃菜は狸だし、ひーうけるー」