「はい、どーぞ伊織ん!お皿も持ってきたので、食べて下さいね~。
桃菜が買った物じゃないけど~~」

「おお、ありがとう。 碧人の言う通り、結構気が利くらしいじゃないの」

「え?!碧人さん、伊織んに何か言ってた?!」

白ワインを口に含むと、伊織さんは途端に渋い顔になる。

「なんだこのワイン、クソ不味いな。どーせ安物買ってきたんだろう。
ワインセラーに良いワインがあるからそれを飲もう」

立ち上がろうとする伊織さんを制止する。 これ以上飲んだら真凛ちゃんがぶっ壊れてしまう。

「安物ですけど、結構飲んでみると美味しいんです!いいからいいから、真凛ちゃんこれ以上飲むと眠っちゃいそうだし」

「…今も意識朦朧だがな。真凛は酒が弱いんだ。それに飲んだら口も悪くなって暴力的になる。 そして記憶もなくなるという三点セットだ。」

「そうなんだ…知らなかった…」

知らなかった、というと伊織さんは得意げにぺらぺらと話し始めた。

自分だけが知っている真凛ちゃんという特権がすごく嬉しいんだろう。 こういう所は子供みたいで可愛いと思う。