「な……おい…真凛…落ち着け。目がすわっている。相当酔っているだろう…。
それにこちらは、君の友達のぶりっ子で我儘な’桃菜’に間違いないだろう?
今はボヤージュのカフェ、marinで働いて更生中だと聞いている」

ちょっと…人を犯罪者みたいに…。
それにぶりっ子で我儘は間違っちゃいないけれど、口に出して言うなんて失礼だ。
相変わらず無神経なんだから!

「私以外の女を呼び捨てで呼ばないでよッ!!!」

そう叫んだ真凛ちゃんはフラッと足元がふらついて、それをキャッチするように伊織さんが両腕で支える。

なんという可愛らしいやきもちだ。心なしか伊織さんの頬が緩んで嬉しそうに見える。

「ごめんごめん。真凛のお友達の桃菜さんだったな。ついつい碧人の口調が移ってしまっただけなんだ。
真凛以外の女を呼び捨てで呼んだりしない。
だから安心してくれ」

「伊織……大すきぃ……」

「全く……珍しいな。こんなに酒を飲むなんて…」