【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


連絡先は知っているから、会おうとすれば会えるけれど…
会う口実もないし、真凛ちゃんに頼めば伊織さんの繋がりで碧人さんと会う事は可能だろう。
けれど会う理由もない。

私達を繋ぐもの、全部なくなってしまうんだ。  それを考えたら、すごく寂しくなってしまった。

「今日はね、marinで夏に出す商品の企画書を持ってきたの。 事務所に来たら、蛯原さんがちょうどいたから。
ボヤージュでも新しく夏に出すお菓子があるんだけど、その商品も取り扱ってもらおうと思って」

「今店長呼びますね~~~。 へぇー夏に新しく出すお菓子か~。楽しみですね~」

「蛯原さんは甘い物好き?企画書に目を通してみる?」

「是非是非! わあ!すっごく見た目も可愛くって美味しそう。
やっぱりお菓子は味も大切だけど、見た目も大切ですね!!!
きゃー!桃菜メロン大好き~~!!!めっちゃ楽しみ~~」

ついつい騒いでしまったら、藤枝さんはくすりと上品な笑みを浮かべる。
はしゃいでしまったのがついつい恥ずかしくなって、俯く、と。