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真白達の卒業式が終わって、ばたばたと入学式が始まって新学期が始まる四月。
marinで働きだして、数ヵ月。 正社員だから、福利厚生もきちんとしているし貯金も少しずつ貯めてきた。
これも全部、小早川家にお世話になったお陰だ。
近頃はマンションの賃貸情報をよく見ている。 特別広くなくってもいい。これからは独り立ちして、しっかりとした姿を碧人さんに見せて行く。
それが私が出来る彼への恩返しだと思うから。
「とはいえ、敷金礼金高いよぉ~~~…てゆーか…お父さん保証人になってくれるかな…
ここは秀人さんにお願いしちゃおうっかなあ…。そんなの駄目駄目。また小早川家に甘える事になっちゃう…」
実家には高校を卒業以来帰っていない。 それでも定期的に父には安否確認の連絡はしている。
特に帰ってこいとも顔を見せろとも言わないので、私の事は無い物にしたのだろう。 あっちの家族はあっちの家族で上手くやっているから、余計な波風を立てる訳にはいかない。



