【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「結婚するなら、俺の環境を理解してくれる女性じゃないとダメなんだ。
今の俺があるのは妹達がいるから
妹達と仲良く出来たり、妹達に認めて貰える相手じゃなくっちゃ」

そうだよね。 碧人さんにとって一番大切な物は家族だもんね。
真白達、三姉妹が独立をするまでは結婚する気がないのかもしれない。

でもそれっていつ?!
藍はまだ10歳だから、碧人さんは藍が成人するまで結婚する気はないのかもしれない。

「そんな事言ってたら本当のおじさんになっちゃうよ。
けど、大丈夫っか……碧人さんなら、十年後でもきっとかっこいいおじさんだよ。
最近は晩婚ってのも流行ってるしね。きっと十年後でもモテるから大丈夫」

その場でぴたりと足を止めた碧人さんは、やっぱり桜の木をジッと見上げる。
私は桜を見上げる端正な横顔を見上げていた。 横顔でも、こんなに絵になるなんて。
ゆっくりと視線を落とした彼が、静かに口を開く。

「桃菜は結婚願望とかあるのか?」

突然の質問にどきりと胸が跳ね上がる。
ゆっくりと動く唇に目が行って、キスをしたあの日の事を思い出してしまう。
忘れようとしているのに!