【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「意外って何よ~ッ!!! あんたこそ言い方ってもんがあるでしょう~?!
桃菜が何も出来ないって思ってたんでしょう~?本当に酷いんだから……」

「何も出来ないとは思っていない。 元々器用なんだなあって思ってたし
marinの仕事もきちんとやってくれているんだろう?
事務仕事も早いって評判がいいよ」

「…事務は前職でやってたもん…。それに得意なのは接客の方だし」

「確かに。男性限定で愛想だけはいいですからね」

「もぉ~!だからあんたはさぁ~!」

marinでの仕事は案外やりやすかった。

碧人さんが私の働きやすいように人選したのも頷ける。 パートのおばちゃん連中は相変わらず苦手だけど…社員の女の子は親切でこんな私にも優しくしてくれる。社員の男の子も親切で優しい。

元々marinに就職が出来たのも碧人さんのお陰だ。
こうやって屋根のある家で生活が出来ているのも…

悪魔のような男であっても、やっぱり面倒見の良い奴。

私の性格が最低最悪だと分かっていても、見捨てないでいてくれるっていうのも…実は感謝している。

碧人さんがいなかったら、私は今頃夜の繁華街で日雇いで働いていた可能性だってある。 それはそれで天職だったかもしれないけど。