言い過ぎだろう、これじゃあ…。その場で肩を落としていると、真白が横に立って俺の肩を軽く叩く。
哀れみにも似たような目で、妹に見つめられる日が来るなんて。
「あお君…あれは無神経過ぎでしょう? あお君はもっと女心が分かっている人だと思ったのに」
「うるせぇ…子供に言われたくない…」
「あお君も大人ぶってるだけで子供っぽい部分もあるのね。
産まれてからずっと一緒に暮らしてるけど、初めて知った。
あお君、朱莉達が読んでいる漫画いわくね、肝心な所で素直になれなきゃうまくいく恋もうまくいかないらしいよ。」
「何だよ、それ。何が言いたいかさっぱり分からないな」
「はぁ~、あお君って案外桃菜ちゃんと似たもの同士かもね。
そうやって大人ぶって我関せずって態度取ってたら、あの真っ直ぐな好青年に桃菜ちゃん取られちゃうかもね」
「な……!どういう意味だよ、そりゃ」
「そういう大切な事は自分で考えて下さい。大人でしょう?
さ~~~、私お風呂入ってこようっと」
呆れたような態度を見せて、真白は浴室へ向かってしまった。
その場で頭を抱えて、今日あった一連の出来事を思い返していた。
ただただ、瀬能くんが気に食わなかった。 それが何故なのかその意味を考える事もなく時間だけが虚しく過ぎていく。



