「付き合ってもいない相手に突然一緒に暮らそうって言うなんて、瀬能くんってそういう奴だったんだな。
こちらは責任を持って彼女を預かっているんだ。
あまり軽はずみな言葉を言わないでくれ」

「俺軽はずみな言葉なんて言ってないです。
それに小早川さんだって蛯原さんと付き合ってないくせに一緒に暮らしてるじゃないですか!」

「な……!だからそれは事情があるんだよ?! 俺と君を一緒にしないでくれるか?!」

「なんだかんだ言って小早川さんが蛯原さんを離したくないだけじゃないんですか?!  そういえばうちのお店に来てる時も必要以上に蛯原さんに構ってましたよね?!
小早川さんの方こそ蛯原さんに気があるんじゃないですか?!
職権を乱用して彼女を縛り付けるような真似しないで下さい!」

「はぁ?!何だお前、いい加減にしろよ!! 俺がいつ桃菜を縛り付けるような真似したっていうんだ!」

俺と瀬能くんの言い合いは段々とヒートアップしていった。
俺も俺だ。
何をこんな年下の男相手に熱くなる必要がある。
しかし胸につっかえたモヤモヤが消える事は無かった。