「人を巨人みたいに言うな。お前が小さいだけだろう?」
「あ~ら、女の子は小さい方がモテるんですよ~。
身長が小さいってだけで可愛さ十割増しですから?
それにこの顔面なんだから最強でしょう?」
「自分で言うなよ。狸顔ってだけだろう? 狸という動物の中で可愛くない個体っつーのも中々いないからな」
「ちょっと!人を動物呼ばわりして失礼なんじゃないの?!
大体桃菜は顔も可愛くって性格も超良い最強生物なんだから
それはもうこの世の奇跡よ」
「性格、いいねぇ……」
呆れたような顔をしてこちらを見下ろす碧人さんを睨みつける。
ただでさえ圧があるくせに、身長まで高いと迫力は二倍なのよ。
「ふ~んだ、どうせ桃菜の性格が悪いって言いたいんでしょう?!」
ツーンと顔を背けると、碧人さんはぷはっと吹き出してまた無邪気に笑う。 その無防備な笑顔を見て、また胸が一つ高鳴った。
食器を拭きながら、彼は宙を見上げて優しく言う。



