「ちょ、マジ離して。 こんな所誰かに見られたら誤解されるッ!」
「へぇ~、じゃあこんな所じゃなければいいんだ?」
意地悪そうな声色にムカついて、ぎゅっと碧人さんの腕をつねる、と
「痛」と言って少し顔を歪ませて腕の力が緩んだ。 ’今だ!’そう思い彼の腕から逃れようとするとその場でバランスを崩してしまい、前のめりに倒れ込むように彼の胸へと自分の体が落ちて行く。
何とか踏みとどまろうとしたのがそもそもの間違いだった。
碧人さんの上に覆いかぶさるように投げ出された体。かちりと歯がぶつかるのと同時に唇に柔らかい感触があたったのを感じ、目を閉じる。
しかし死にたくなったのは目を開けた瞬間だった。
碧人さんは驚き目を見開いたようにその場でフリーズしていた。 驚くとそういう顔をするんだ、とどこかで冷静に考えている自分がいた。
「き、きゃあああああああああ………!」



