フッと小さく笑った碧人さんは、鋭い視線を緩ませて目を細めた。
その顔についついドキドキしてしまう。
「小学生の頃はそれなりに寂しかったよ。まあ、父親の仕事は不定期だし忙しいのも分かってたからそれでも仕方がないって思ってたけど。
だけど中学生になって真白達の母親と再婚してから、みやびさんは俺の学校行事は全部参加してくれたんだ。
最初はすっげー若いし、周りからの視線も気になってたけど……
そういうみやびさんの優しさに救われた」
みやびさん、それは真白達の母親で碧人さんとは血の繋がりがない。
継母なのに彼女は碧人さんと上手く関係を築いていったのだろう。
私は継母とは上手くいかなかった。 けれどそれはみやびさんと私の義理母の違いではなくって、私と碧人さんの違いだったのかもしれない。
私は心の底から継母を拒絶していた。 そんな全然懐かない義理の娘は絶対に可愛くなかったに違いない。 それは大人になった今だからこそ良く分かる。
私が真白達を可愛いと思う理由は、彼女たちがなんだかんだ言って私に懐いてきてくれているからだ。
「そっか……。 まあ、碧人さんが行くっていうなら桃菜は別に行かなくってもいいかな?」
「でも朱莉達は桃菜が来るのを喜んでたよ。」



