【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


「簡単にあんな事言っていいのか?」

「何が?」

「いや、だから…朱莉の卒業式に出るとか…」

意外な言葉を言われて、ああ…その事だったのかと理解。

「だって卒業式に秀人さんが行かないのは朱莉だって真白だって寂しいじゃない」

「何だよ、真白の卒業式にも行くつもりだったのかよ」

碧人さんは迷惑そうにはぁーっと大きなため息をついた。
な、何よっ!迷惑なら別に行かなくてもいいんだけど?!
親切で言ったのに!

「だって朱莉の卒業式に出て真白のだけ出なかったら真白が可哀想じゃん……。
それに親が卒業式や行事ごとのイベントに参加してくれないのって…
案外寂しいんだから……」

小学校を卒業して以来、親の参加する行事は拒絶してきた。
運動会や参観日。 別に参加してくれなくって結構。そう思ってきたけれど
素直な気持ちを口にしてしまえば、周りの仲が良さそうな家族が羨ましかった。

家族という枠組みの中で仲良さげな親子を見ていると、記憶にもない死んだお母さんを思い出した。

「その気持ちは、分からなくもない…」

「碧人さんも?」