【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


その夜お風呂上がり、碧人さんに呼び出しをくらった。
呼び出しをくらうのは初めてではなかった。

仕事の説教だったり、小早川家で暮らし始めた当初真白達と衝突した時によく呼び出された。
体育館裏に来い、のヤンキー思想呼び出しされると毎回ビクビクしていたのも何故か今は懐かしい。

碧人さんの部屋といっても小早川家は平屋作り。 壁も薄いし、一枚ふすまを挟んだ先は秀人さんの部屋である。

仕事をしている時はバリバリで都会人っぽい彼の部屋は、まさに寝る為だけに用意されているようで無駄な物がないシンプルな部屋だ。

碧人さんらしいっちゃ碧人さんらしかった。

いつも彼はシングルベッドに座り、私は床に正座をする羽目になる。
今日は一体何をご立腹なのだろう…。

「何ですかあ?」

ただでさえ最近喧嘩っぽくなっていてロクに口を利いていない。
何故か気まずい空気が流れて、碧人さんの鋭い眼光が光る。

イケメンはイケメンなんだよね。
黒髪が良く似合うすっきりとした顔立ち。

特別顔のパーツに派手さはないものの、そこがまた甘い顔立ちをしているとは思う。
パートのおば様達にファンが多いのも頷ける、THE好青年といったいで立ちである。