【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた


客観的に見ても、二人はとてもお似合いに見える。 高身長カップル…高学歴カップル…。対等に見えて、何だか自分が恥ずかしくなる。

本当にただの同期なのだろうか…。
周りに少しだけ挨拶を済ませて、碧人さんと藤枝さんは本社に戻って行った。
胸に残ったモヤモヤがもっとモヤモヤしてしまうのは彼らが帰った後だった。

「小早川さんと藤枝さんって昔付き合っていたらしいわよ」

梓さんの口から衝撃的な言葉を聞いたのは、その日営業を終えて事務所で閉店作業を行っている時だった。

その場には瀬能さんもいた。

「え?そうなんですか?何か雰囲気ありましたもんね~?」

「ね~?大学時代から一緒の同期で、ボヤージュに入社してからもちょっと付き合ってたみたい。
本社の人間から聞いたから確実な話だと思うわ」

「結構元カノと一緒の職場ってきつそうですけどね。
でも二人とも仲が良さそうでしたもんね」

「小早川さんファンのパートのおばちゃん達が知ったら発狂しちゃいそうなネタよね。
それに担当も藤枝さんに変わるのかあ…皆がっかりしそう。
小早川さんのファンも多いものね。 ね?蛯原さん…」

「……」