「碧人と伊織さんとは大学も学部も一緒だったの。 だから長い付き合いなのよ」
「そういう偶然もあるんですね………」
伊織さんとも同級生。
だけど伊織さんはさん付けで、碧人さんは呼び捨て。
そんな細かい事が気になってしょうがなかった。
「蛯原さん、こいつにいじめられてない?
周りには良い顔するけれど、こいつ昔っから口が悪いんだから」
「おいおい、余計な事を言うなよ。 これでもmarinでは評判いいんだから」
「くすくす、本当かしら?
碧人ってば昔から猫被ってたもんね。
こんな可愛らしい女の子苛めていたらただじゃおかないけれど」
「マジで勘弁してよ。 ね、蛯原さん」
「は、ははは。そうですねぇ、小早川さん…。
こ、小早川さんには良くして貰っています」
碧人さんの’蛯原さん’呼びにも寒気がしたが、余計な事を言うなよとでも言いたげな張り付けられた笑顔にももっと寒気がした。
それにしたってただの同期でここまで馴れ馴れしくって、仲良くするものなのだろうか……。



