「また宿題分からなかったら教えてね」
ぎゅっと思わず抱きしめると、藍はふにゃっとした笑顔を見せて目を細める。
腹違いの弟の事を可愛いと思った事は一度もなかった。 いつも一定の距離を置いて居て、話しかけるなオーラを出していたからだ。
私はいつしか家族への歩み寄りを止めた。
けれど小早川家に来て、三姉妹に心を許されると感じる瞬間ふと気持ちが柔らかくなっていったのだ。
それは味わった事のない…いやもしかしたら実の母が生きていた頃向けてくれていた筈の家族愛だったのかもしれない。
「あお君今日休日出勤だって」
「あっそう」
台所で真白と隣に立って料理をするのにも慣れた物だ。
料理や家事は一人暮らしを始めて必要だからしていたものだけど、改めて結構好きなんだと認識する。
そういえば…歴代彼氏には良く思われる為に料理を振舞っていたなあ。あの時は楽しいとか好きとか思えず、自分を良く見せる義務としてだけやっていた。



