第五章 事故キス?! 好意を自覚する時。




小早川家にお世話になり始め二ヵ月が過ぎようとしていた。
真白の進学先が決まり、春からは高校生。 そして朱莉も中学校へ進学する。
この春は何かと忙しく、物入りな時期である。

最近の小早川家は少しだけ静かだ。 その原因は私と碧人さんにあるのは間違いない。
というか、一方的に私が碧人さんを避けまくっている。
だって分からない。

今までは男性に取り繕った笑顔を見せていればその場は収まっていたのに
愛らしいと言われ続けた仮面の笑顔を身に着けていれば何でも許されてきた。  けれど碧人さんにそれは通用しない。

甘ったるい声を出して甘えたとしても、碧人さんはいつだって私の本性を見破るような人だった。 だから碧人さんの前で取り繕うための仮面は必要ない。

それが楽だと感じた。 素の自分でいても認めて貰えているような気がして………
でもだからこそ、喧嘩をしたり気まずくなったらどうやって関係を修復していいか分からないのだ。