朱莉と話していると、まだパジャマ姿の小早川家最後の子供が眠たい目を擦りながら茶の間へとやって来る。

ちなみに’茶の間’と表現するのは、この家が昭和っぽく、今時茶の間に縁側があったりするからだ。
’ふすま’とか’しょうじ’があるのもどこかレトロちっくだ。

(ラン)もおはよう」

「おはよ……」

小早川家の三女、末っ子の藍は……ちっとも私には懐かない。
まだまだ10歳の小学四年生。

それどころか、私の姿を見つけるとサッと気配を消すようにしている。
人見知りが超激しいらしい。可愛らしい顔をしているのに私には一度も笑いかけてくれない。

どうやら小早川家の母親は藍が5歳の時に亡くなってしまったらしい。 まだまだ母親に甘えたい盛りだっただろう。 その気持ちは、ほんのちょっぴり分かる。