苦し紛れに慌てて顔を隠したけどもう遅い。 あっという間に両手は絢くんの手に掴まれてしまい、 あたしはなす術なく下を向いた。 この一瞬で顔の熱が下がったら良いのに。 「柚璃」 「………」 「顔あげてよ」 ああもう、名前呼ぶな。 いつもみたいにおばさんって言ったら良いのに。 こんな時に限ってなんで、 そんな甘ったるい声であたしの名前を呼ぶの。