落ち着いたタイミングで更衣室のドアを開けると、待ち構えていたように絢くんが立っていた。
「…なんのご用で」
「家まで送る。」
「いやぁ結構ですよ…あたしみたいなおばさんをね、どうにかしようなんて人いないんで…」
「…おばさんじゃねぇよ」
「え?」
苦々しい顔で呟かれた言葉に思わず聞き返してしまう。
一瞬気まずそうに目をそらした絢くんは、何かを決心したみたいな顔であたしを真っ直ぐに見つめた。
「おばさんじゃねぇから。
柚璃は、女の子じゃん」
「おんっ………」
あ、まずい。
思わぬ言葉に心の準備が全くできてなかった。
相手は16歳の少年、子どもの言うことだ。
慌てて言い聞かせても時すでに遅し、
「………柚璃、何その顔」
ああ、本当に。
今日は厄日だ。

