「大丈夫?怖かったでしょ」

「………別に」

「もう大丈夫だから
帰ろ?」

「はぁ…」

「え、なんのため息?」

大きなため息をついた後、
絢くんは頭を抱えたポーズのまま動かなくなってしまった。

遅れて恐怖がやってきたんだろうか。



「絢くん?だいじょ…」

「もうこういうのやめてよ」

「え?」


首の後ろに手が回されてぐっと引き寄せられたせいで、絢くんの綺麗な顔が近づく。

勢いよく顔を上げた絢くんと至近距離で目が合ったせいで、目をかっ開いた顔のまま固まってしまった。